人間は食べなくてもエネルギーを蓄えられている

ファスティングをしている間(つまり食べられない間)、人間の体は豊富に蓄えてある食物――体脂肪――を利用する。基礎代謝量を高いまま維持し、口にする食べ物ではなく体脂肪として体に蓄えてあった食べ物を、燃料として使うのである。そもそも、体脂肪を蓄えるのはそのためだ。そうすれば、毛むくじゃらのマンモスをしとめにいくのに十分なエネルギーを補給することができる。

ファスティングをしている間、私たちの体はまず肝臓に蓄えられているグリコーゲンを使う。グリコーゲンがなくなると、体脂肪を使う。

これは、いいニュースだ。体脂肪ならたんまりと蓄えてある。燃やせ、燃やせ、どんどん燃やせ。燃料がたっぷりあるわけだから、基礎代謝量を落とす必要もない。

これこそが長く続く減量の秘訣であり、何度も減量に失敗して失望する方法との違いだ。まさに成否を分けるポイントである。

簡単にいえば、ファスティングとは、つねに何かを食べていては起こりえないホルモンの変化をもたらすものであり、それは、毎食カロリーを削減するだけでは起こりえない変化であるということだ。さらに、その効果を高めるのは、ファスティングを「間欠的」に行うという点だ。

2型糖尿病を引き起こす糖を燃やしたいなら、基礎代謝という火に燃料をくべつづけなければならない。ファスティングという試練をくぐり抜けることで、私たちは糖尿病のない新しい体を手に入れることができる。

「ファスティングvs.低炭水化物ダイエット」どちらが効果的?

間欠的ファスティングと低炭水化物・ヘルシー脂質ダイエットのどちらもインスリン値を効果的に下げるので、減量することも2型糖尿病をよくすることもできる。

ファスティングはインスリンの分泌量を最も効果的に抑えることができるので、シンプルで最も手早く効果の出る方法である。

一方、炭水化物を極端に減らしたダイエットもとても効果的で、実際に食事を抜いたりしなくても、ファスティングの効果の71%が得られる。カロリーがほとんど同じでも、食事の55%を炭水化物で摂る場合に比べて、低炭水化物ダイエットは、インスリンの分泌量をおよそ半分に減らすことができる。ファスティングをすれば、その残りの50%をも減らすことができる。それがファスティングの効果だ。

パンを食べることを拒否する女性
写真=iStock.com/dragana991
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こうした研究結果から明らかなのは、「炭水化物を制限したことで血糖値が下がったのは、たんにカロリーを減らしたからではない」ということだ。

これこそ有効な知識というものだが、健康の専門家は口をそろえて「カロリーの摂りすぎが原因だ」と言う。